【5限目】発達障害を理解しよう

発達障害とは

↑これで、ええねん。な。

生徒のみんなには、よく理解してほしいことです。みんながこれから様々な人と出会う中で、必ずと言ってもいいほどに、発達障害というものに直面する場面が出てきます。

その時に、無理解であると、人を傷つけたり、自分が傷ついたりすることになります。

この世の中には様々な人が生きています。大人だから、職場の上司だから、子供だからと言って、その立場相応に”完全な人間”は存在しません。

そもそも人は ”不完全に産まれ、不完全に生涯を閉じる物です”

ただし、今の社会通念や社会常識上、できて「当たり前ではないか」ということが「当たり前でない」ことに遭遇すると、無理解だと「あの人はやる気がない」「あの人はおかしい」と断罪してしまう社会が出来上がります。

発達障害は、この「できて当たり前」が「ある事情でできないことがある」ということになります。そのできない理由はなぜなのか?また、どういうことができないのか?をここで一緒に勉強しましょう。

そうすれば、「できないこと」の「なぜ」の部分を理解することにより、「こうすればできる」という新たな切り口が発見できるかもしれません。それが、自分を、または自分の大事な人を守るための、新たな世の中を生き抜く方法を身に着けられるのです。発達障害だからと諦めてはいないとは思いますが、まだやりようはあります。

これは、とても大事なことです。発達障害は「病気」ではありません。

生徒のみんなも持っている、「苦手なこと」が「すごく苦手なこと」になっただけです。

そこを、取り違えないようにしてくださいね。

 

発達障害の種類とは▶▶▶▶

発達障害とはどんなもの?①

↑結果、どうであれみんな一緒よ

『やらないのではなく、やりたくてもできない』のです。

これが、「発達障害」の人の心の声です。

 

会社や学校で、

「何でこんな簡単なことができないんだろう」

「対人関係が下手だな~」

「何回言えば、分かるんだろう」

「何度、教えればできるんだろう」

と思う人に出会うことがあります。

そんな時に、「この人、やる気あるのかな~」と受け取つてしまうことが往々にしてありますが、少し様子をみてから判断してくれませんか?

ひょっとすると、それは、「発達障害」の症状かもしれません。

冒頭にも書いていますが、発達障害の人は「やりたくてもできない」のです。

 

ここで、少し、「発達障害」のことについて一緒に勉強をしましょう。

最近になって、ようやく「発達障害」というものが、社会的に認知されるようになってきました。

本屋に行けば専門書もあります。ネットで調べれば情報も見ることができます。専門のクリニックもあります。

 

しかし、「発達障害」はここ近年に発生したものではありません。昔から存在はしていたのです。

「ただ、周囲が気づかなかっただけ」

「ただ、1人で相談できずに悩んでいる人がいただけ」

「ただ、周囲の人が、あの人は ”何か違う” と違和感を持っていただけ」

「ただ、やる気のない人と簡単に決めつけていただけ」

の世の中の風潮であっただけです。

 

特に、現在の30歳以上の人たちは(2020年時点)、子供のころに「発達障害」と判定される環境が、なかっただけで30歳以上の人でも「発達障害」を持っている人もいます。このことを仕事塾では「隠れ発達障害」と呼んでいます。

発達障害とはどんなもの?②

↑大人になると何でもできる風に
お互いに見られるんだよ。
脳がそういう認識を作るのか?

「発達障害」を簡単に説明すると、

『ある、特定の物事について、上手くできない』ことになります。

このことで、仕事や学校の勉強、人間関係で悪いほうに影響がでたり、自己嫌悪に陥ったりすることがあるのです。

この原因は、『先天的に(=生まれながらにして)脳の発達機能に障害(=というと重大なイメージですが成長が少しだけ遅いと理解しましょう)を及ぼしている』、このことが影響しているといわれています。

ただ、これだけ医学が発達していても、真実は定かではないようです。

これは、とても大事なことです。『発達障害』は【病気】ではありません。

人それぞれに必ず持ち合わせている【苦手】が顕著に出ているだけです。

 

良く知られる症状として、

①「物事を整理することが ”とても” 苦手」→情報やモノの整理など

②「計画が立てるのが ”とても” 苦手」→仕事や宿題などの計画など

③「簡単な計算だけど ”とても” 苦手」→掛け算や割り算などの計算など

④「順番通りにすることが ”とても” 苦手」→仕事の手順や家具などの組み立てなど

⑤「人の話を聴くことが ”とても” 苦手」→商談や会議や朝礼など

⑥「コミュニケーションをとることが ”とても” 苦手」→人との接し方など

⑦「片づけるのが ”とても” 苦手」→部屋や会社の机など

上記のような事例がありますが、

これが、社会や仕事に入ると、【扱える権限】や【扱える責任】の【重さ】や【行動範囲の大きさ】

の影響で、

《”とても” 苦手なことが、より苦手として表れて目立ってしまう》ことや

《人と比較される ”分母が大きくなってしまい” より目立ってしまう》ために

【失敗すると、問題が目立ってしまったり、大きくなってしまったりして深刻化してしまう危険性】があるのです。

例えば、

「人間関係が上手くいかないために、上司や取引先から心証が悪く見られてしまう」

「計画が上手く立てられないために、仕事で失敗してしまう」

「発注ミスで大量に注文してしまう、少なく注文してしまう」

「お金を使いすぎて借金をしてしまう」

「部下や後輩に、無理難題を言いつけて辞めさせてしまう」

などが起こります。

 

ただし、「今、置かれている環境で、”生きづらさ” や ”やりにくさ” を感じていなければ、それは【発達障害】とは言いません。

叱ることはむしろ逆効果

↑ 怒るよりも、どう攻略するかにエネルギーを使おうぜ

家でも仕事でも、ミスを繰り返す、物覚えが悪い、時間にルーズ、物事が長続きしない、人を怒らせる言い方をする。

こんな場面に遭遇すると、「頭にカチン」ときて、叱ったり、怒ったり、怒鳴ったりしてしまうことがあります。

この時の、怒る側の感情は

【できて当然】→【できない】→【やる気がないから、努力が足らないから】→【こっちの気もわからないのに】→【怒りの感情が沸く】

こんな感じで動いていきます。

心理学的側面で考えると、『一人称』と『決めつけ』の2つの感情が優位的に出ています。

『一人称』は《私が》という観点で見てしまっている状態です。

『決めつけ』は《できて当然》という観点で見てしまっている状態です。

 

これを、逆の立場で見る『逆視点』をつかうと、

『ニ人称』と『受容』という感情になります。

『ニ人称』は《あなたが》という観点になり、『受容』は受け入れて認める観点です。

この逆視点を使うと、

【できない】→【なぜ、できないのだろう】→【苦手な事なのか?】→【相手の気持ちを確認しよう】→【そういう理由なのか】→【怒りではなく、理由がわかる】→【他にできる方法がないか考えてみる】

となる訳です。

 

叱る感情もわからないでもないですが、叱ったところで何も解決になるどころか、むしろ相手が感情的になったり、自暴自棄になってしまい逆効果になることが目に見えています。

さらにひどくなると、そもそも当人が苦手を理解している中で、感情的な対応を取り続ければ、【うつ】になる場合もあります。【うつ】になれば、引き上げることが相当難しくなります。

まして、叱った側も、後味がスッキリするわけでもありません。

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